頻度 ときどきみる
治療のポイント
・治療する精神症状を,てんかん発作,精神症状以外の併存症と区別する.
・精神症状とてんかん発作,抗てんかん薬との関連を両者の出現形式(前後関係,緩徐か急速か)から推定する.
・てんかん発作,抗てんかん薬と相関のある精神症状には,まず抗てんかん薬を調節し,次に向精神薬を投与する.
・てんかん発作,抗てんかん薬と関連のない精神症状には,対症的な向精神薬を投与する.
◆病態と診断
・てんかんと精神疾患は互いに他方を引き起こす双方向性の議論があるが,明確な生物学的な要因は未解明である.
・統合失調症に類似した精神病症状,うつ症状,不安症状がみられる.
・てんかん発作や抗てんかん薬と関連する精神症状(発作後精神病,交代性精神病など)と,てんかん発作と直接関連ない精神症状がある.
◆治療方針
Aてんかん発作の出現前後(数時間~2,3日以内)に出現した精神症状
1.てんかん発作か,精神症状かの鑑別
脳波検査を行い,てんかん発作,意識レベルの確認を行う.
●治療の変更の指標 脳波にて非けいれんてんかん発作重積状態(NCSE:nonconvulsive status epilepticus)と診断される場合は,ジアゼパム注10mg静脈注射を考慮する.脳波にて意識障害が疑われる場合は発作後もうろう状態,脳症などの鑑別が必要になる.
2.抗てんかん薬の増強,追加
精神症状への影響が少ないと考えられる抗てんかん薬の増量,追加を行う.
3.向精神薬の投与
症状に応じた向精神薬を選択する.
a.精神病症状,興奮状態
発作後に出現した場合,てんかん発作後精神病が考えられる.とりあえずの鎮静,催眠作用を目的として下記を投与する.
Px処方例 下記1),2)のいずれかを用いる.不眠が強い際には3)を併用する.