診療支援
治療

骨髄炎(急性・慢性)
osteomyelitis
川嶌眞之
(川嶌整形外科病院・院長(大分))

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治療のポイント

・慢性化すると非常に難治性の感染症であり,早期診断・早期治療が重要であることを念頭におく.

・起炎菌の同定が重要であるため,抗菌薬を投与する前に培養検査を行う.滲出がない場合は病巣部の穿刺培養や血液培養を考慮する.

・急性化膿性骨髄炎(急性骨髄炎)では,早期からの抗菌薬の静脈内投与が必要となる.

・慢性化膿性骨髄炎(慢性骨髄炎)では外科的治療を要する可能性が高い.

・可能であれば高気圧酸素治療(HBO:hyperbaric oxygen therapy)の併用も考慮する.

◆病態と診断

A病態

・急性骨髄炎は感染経路により分類され,歯周病など遠隔病巣からの血行性骨髄炎と,開放骨折や手術後,蜂窩織炎などの隣接病巣から波及する続発性の骨髄炎に分けられる.血行性骨髄炎は小児の長管骨骨幹端に多いとされてきたが,抗菌薬の普及により近年は減少しており,外傷や術後の続発性骨髄炎の割合が増加している.

・慢性骨髄炎には,急性骨髄炎から慢性化した続発性の慢性骨髄炎と,急性期を経ずにはじめから慢性に発症・経過する非定型骨髄炎がある.後者にはBrodie骨膿瘍・Garré硬化性骨髄炎・形質細胞性骨髄炎などがある.慢性骨髄炎では瘻孔を認めることも多く,経過の長い症例では瘻孔癌が発生することがある.

B診断

・臨床所見:急性骨髄炎では局所の発赤・腫脹・圧痛・熱感などの炎症所見,および発熱・全身倦怠感などの全身症状を認めることが多い.慢性骨髄炎ではこれらの炎症所見に乏しいが,瘻孔や皮膚の色素沈着を認めることが多い.

・血液学的所見:急性骨髄炎では白血球(好中球)数・CRP値・赤沈値の上昇を呈するが,慢性骨髄炎では上昇しないことも多い.

・画像所見:急性骨髄炎の初期は単純X線像では正常に近いが,時間とともに骨萎縮像や骨膜反応,骨溶解像を認める.MRIでは早期から骨髄の輝度変化がみられるため初期診

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