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GL性感染症 診断・治療ガイドライン2020
GLJAID/JSC感染症治療ガイド2019
ニュートピックス
・2022年6月からマイコプラズマ・ジェニタリウム(マイコプラズマ)とトリコモナス・バジャイナリス(腟トリコモナス)の核酸増幅検査が保険適用となった.
・淋菌およびマイコプラズマの薬剤耐性が問題となっており,特にマイコプラズマではマクロライド系とキノロン系抗菌薬への感受性が低下している.
治療のポイント
・初診時に淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎を鑑別し,治療を開始する.
・クラミジア性尿道炎を想定した治療で初尿の沈渣や症状が改善しない場合,マイコプラズマ性尿道炎を考慮して積極的に検査を行い,適切な抗菌薬を投与する.
◆病態と診断
A病態
・性感染症は口淫(オーラルセックス)や経腟性交などにより伝播する感染症である.尿道炎は最も頻度の高い性感染症であり,病原微生物が逆行性に侵入して尿道に感染する.
・尿道炎の主な症状は排尿痛,尿道痛(違和感やかゆみ)や尿道分泌物(排膿)が多く,発熱を伴う前立腺炎や精巣上体炎に至ることもある.
・尿道炎の主な病原微生物は淋菌,クラミジア・トラコマティス(クラミジア)であり,マイコプラズマと腟トリコモナスも尿道炎の原因微生物として認知されている.
B診断
・初診時に,潜伏期間,尿道分泌物の性状,排尿痛の強さ,グラム染色・単染色によって淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎を鑑別して治療を開始する.
・非淋菌性尿道炎の約4割はクラミジア性尿道炎であり,淋菌もクラミジアも検出されない尿道炎を非クラミジア性非淋菌性尿道炎としてマイコプラズマや腟トリコモナス,その他の病原微生物を考慮する.
・上述した4種の病原微生物は,すべて保険診療として核酸増幅検査による診断が可能である.
・淋菌はグラム染色でグラム陰性双球菌がほぼ認められ,腟トリコモナスも沈渣で虫体が見いだせることがある.