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治療

血尿(特発性腎出血を含む)
hematuria(including idiopathic renal hematuria)
杉元幹史
(香川大学医学部附属病院教授・泌尿器・副腎・腎移植外科)

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GL血尿診断ガイドライン2023

治療のポイント

・血尿の定義:尿中赤血球数が尿沈渣法で5個/HPF以上,もしくはフローサイトメトリー法で20個/μL以上.

・顕微鏡的血尿と肉眼的血尿に大別して診断・治療を行う.

・糸球体性血尿では腎炎などの内科的疾患を主に疑い,非糸球体性では尿路上皮癌などを念頭に尿路系疾患を疑う.

・血尿の病態を理解し,適切な検査を選択し診断を行い,必要に応じて各専門診療科に原因精査を依頼する.具体的な治療は原因疾患別に専門診療科に委ねる.

◆病態と診断

A病態

・血尿とは,上記の定義を満たす量の赤血球が尿中に認められた状態であり,腎・泌尿器科疾患において重要な症候である.

顕微鏡的血尿の原因としては尿路悪性腫瘍,感染症,結石症などの尿路系疾患,または糸球体腎炎などの内科的疾患が鑑別に挙がる.

・無症候性顕微鏡的血尿単独例は30~80%が経過中に自然消失するといわれている.しかし無症候性顕微鏡的血尿の1.4~6%に尿路上皮癌が認められたという報告があり注意が必要である.また経過中に10%以上が蛋白尿を認め,蛋白尿が陽性化した場合は腎不全のリスクが上昇する.以上より,尿路上皮癌のスクリーニング,さらには赤血球の形態・尿蛋白の有無で腎炎のスクリーニングの追加が必要となる.

肉眼的血尿は小児・25歳以下の若年者を除き,泌尿器科疾患が原因であることが多く,泌尿器科専門医への紹介が必要である.鑑別疾患としては,悪性腫瘍(尿路上皮癌,腎細胞癌,前立腺癌),前立腺肥大症,腎動静脈奇形,腎梗塞,尿路結石症,尿路感染症,特発性腎出血が挙がる.

50歳以上の血尿の原因で最多は膀胱癌であり,膀胱癌の80%以上が血尿を主訴としている.また膀胱癌の血尿は間欠的血尿であり,検査時に血尿を認めないこともあり注意が必要である.

・反復する肉眼的血尿の10%以上で泌尿器癌と診断されたとの報告が

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