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GL痒疹診療ガイドライン2020
ニュートピックス
・アトピー性皮膚炎治療の生物学的製剤である抗IL-4/13受容体抗体および抗IL-31受容体抗体製剤が痒疹にも効果的であることが検証された.
治療のポイント
・虫刺されでは,何に刺されたかが重要である.
・病型を適切に診断し,症候性の場合は基礎疾患の治療を並行する.
・抗ヒスタミン薬内服とステロイド外用が治療の柱である.
・難治例では,種々の治療オプションを用いる.
◆病態と診断
A病態
・痒疹丘疹または痒疹結節を主徴とする.強いかゆみを伴って生じ,周囲は健常皮膚である.虫刺されは,痒疹丘疹の典型である.その他の病態は不明だが,アトピー性皮膚炎に重要なTh2サイトカインやIL-31とともに,乾癬に関連するTh17やIL-36も病態にかかわっている.
B診断
1.臨床による分類
・結節性痒疹,多形慢性痒疹およびそのほかに分けられる.
・結節性痒疹:四肢伸側や体幹に1cm程度のドーム状に隆起した暗赤色から褐色調を呈する結節がみられる.
・多形慢性痒疹:紅色調の小さな丘疹が孤立散在性にみられ,その後集簇する.側腹部,下腹部や大腿などにみられ,掻爬によって膨疹状に盛り上がり,のちに褐色調の充実性丘疹局面を呈す.1~2か月で消退,出現を繰り返す.
・それ以外の痒疹:いずれにも該当しない米粒程度のかゆみの強い紅色丘疹で,体幹,四肢に孤立性にみられる.
2.原因による分類
・虫刺されによるもの:ナンキンムシ,サシガメ,ノミ,シラミ,カ,ハエ,アリ,クモ,マダニ,ヒゼンダニなどに刺されたあとに生じる.虫の唾液や毒などに対する局所アレルギー反応によって,1個ないし数個の浮腫性丘疹・紅斑を生じる.まれに,アナフィラキシー反応を起こす.
・症候性痒疹:さまざまな疾患に合併するため(図),血液検査などによる検索を要する.
◆治療方針
日常生活が障害されないようにかゆみを止