診療支援
治療

円板状エリテマトーデス
discoid lupus erythematosus(DLE)
茂木精一郎
(群馬大学大学院教授・皮膚科学)

頻度 ときどきみる

ニュートピックス

・全身性エリテマトーデス(SLE)の治療薬として生物学的製剤であるベリムマブとアニフロルマブが使用できるようになり,SLE患者に伴うDLEに対して治療効果が期待できる.

治療のポイント

・日光曝露が悪化因子となることを説明し,遮光(サンスクリーン剤の使用)を指導する.

・ステロイド外用が第1選択であり,通常よりも強めの外用薬を選択し,改善が得られたらランクダウンする.タクロリムス軟膏外用の有用性も報告されている.

・本症がSLE患者にみられる場合,ステロイド外用でも改善が得られない症例ではヒドロキシクロロキン(HCQ)の併用を考慮する.

◆病態と診断

A病態

・日光露光部である顔面,頭部,耳介,手背などに好発し,鱗屑を伴う紫紅色の類円形・不整形の隆起性ないし萎縮性紅斑を呈する.軽快後に色素沈着や色素脱失を伴う萎縮性瘢痕を生じることや,頭部では永久脱毛斑を生じることもある.

・皮膚限局性LE(CLE:Cutaneous LE)は通常,顔面に単独で存在するが,頸部より下に広範囲に多発する場合(播種状円板状エリテマトーデス)やLEの他の皮疹型が存在する場合はSLEを考慮する.

B診断

・皮膚生検によって,表皮の萎縮と基底層の液状変性,毛孔角栓,角質増生などを確認する.

・蛍光抗体直接法にて病変部の表皮真皮境界部にIgG,IgM,補体の沈着が高率にみられる.

・発熱,関節痛,倦怠感などの全身症状や白血球数,補体の低下,抗核抗体,抗DNA抗体高値などの異常検査所見を呈し,皮疹の分布が広範囲である場合は,SLEに伴う皮疹を疑い精査する.

◆治療方針

 皮膚限局性LEの場合はステロイド外用を中心としてHCQ内服も併用する.SLEに伴うDLEでは,ステロイド外用に併用して,SLEの治療に準じてHCQ内服やステロイド内服などの全身療法も考慮する.

A生活指導

 悪化の要因となる日光照射や寒

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?