診療支援
治療

サルコイドーシス(皮膚科)
cutaneous sarcoidosis
野村尚史
(京都大学大学院特定准教授・皮膚科学)

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ニュートピックス

・薬剤によるサルコイドーシス様反応(drug-induced sarcoidosis-like reactions)が報告されている〔原因は,免疫チェックポイント阻害薬,抗HIV療法(ART),インターフェロン,TNFα阻害薬〕.

治療のポイント

・多臓器病変の検索が重要である.

・軽徴な発疹は自然治癒しうる.

・皮膚生検は積極的に実施する.

◆病態と診断

A病態

・原因不明の肉芽腫性疾患である.

・病理学的に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫(非乾酪壊死性類上皮細胞肉芽腫.別名サルコイド肉芽腫)を特徴とする.

・多臓器を侵す(皮膚,眼,肺,リンパ節,心臓など).

・起因物質反応性Tリンパ球の活性化と,類上皮細胞の誘導を伴う免疫反応により発症する.

Cutibacterium acnesは起因物質の候補である.

・皮膚病変はサルコイドーシス患者の30%にみられ,発見動機となる.

・皮膚病変の臨床像は多彩である.

・発疹は次のように大別される.

 (1)特異疹:組織学的にサルコイド肉芽腫を認める.

 (2)瘢痕浸潤:肉芽腫内に異物が存在し肉芽腫周囲に瘢痕組織が誘導される.

 (3)非特異疹:サルコイド肉芽腫を認めない.結節性紅斑がその代表だが,日本人では5%以下とまれ.

・特異疹は,結節型,局面型,びまん浸潤型,皮下型の4病型と,その他の苔癬様型などに分類される.

B診断

・「サルコイドーシス診療の手引き2020」に基づいて診断する.

・必ず膝を確認する.紅斑,局面,結節を認め,線状に分布することもある.

・ダーモスコピーで,線状血管を伴う黄~橙色小球状あるいは無構造パターン,アップルジェリーパターンを認める場合は,肉芽腫病変を示唆する.

・皮膚病変は積極的に生検する.

・鑑別は,環状肉芽腫,環状弾性線維性巨細胞性肉芽腫(annular elastolytic giant cell gr

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