診療支援
治療

悪性黒色腫
malignant melanoma
藤澤康弘
(愛媛大学大学院教授・皮膚科学)

頻度 あまりみない

GL皮膚悪性腫瘍ガイドライン第3版 メラノーマ診療ガイドライン2019

ニュートピックス

・ペムブロリズマブの適用がステージⅡB/ⅡC症例の術後補助療法に拡大した.

治療のポイント

・外科切除が基本であり,薬物療法は術後の補助療法や進行例が適応である.

・BRAF阻害薬はBRAF遺伝子変異例のみ使用可能なため,進行例だけでなく術後補助療法の適応となるステージⅢ症例でもすみやかにBRAF遺伝子検査を施行する.

・それぞれの薬剤には特有の有害事象があるため,その内容と対処を熟知する必要がある.

◆病態と診断

A病態

・メラノサイトが癌化した腫瘍で,皮膚に多いが粘膜や脈絡膜にも発生する.

・本邦では,手足に発生する末端黒子型と粘膜に生じる粘膜型で全体の半数を占める.

・表在拡大型はBRAF遺伝子変異が≧50%で検出されるが,本邦に多い末端黒子型と粘膜型は≦10%と少ない.

B診断

・ダーモスコピー検査は有用だが,判定には修練が必要である.

・部分生検は腫瘍の厚さ評価だけでなく診断自体が不正確になるため,可能な限り全切除生検を行う.

◆治療方針

 術後補助療法で薬剤を使用する場合は適用となるステージと薬剤が複雑なので注意.進行期の薬物療法は免疫チェックポイント阻害薬またはBRAF/MEK阻害薬が第1選択となり,化学療法はそれらの治療が無効となった症例のみに行う.

Px処方例 下記のいずれかを用いる.

‍ 〔免疫チェックポイント阻害薬(ICI)〕

1)ペムブロリズマブ(キイトルーダ)注 1回200mg 3週ごと,または1回400mg 6週ごと 点滴静注

2)ニボルマブ(オプジーボ)注 1回240mg 2週ごと,または1回480mg 4週ごと 点滴静注

3)ニボルマブ(オプジーボ)注 1回80mg+イピリムマブ(ヤーボイ)注 1回3mg/kg 3週ごと 点滴静注 4回まで.以降は上記1)または2)を継

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