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治療

にきび(尋常性痤瘡),酒皶
acne and rosacea
須賀 康
(順天堂大学医学部附属浦安病院・皮膚科教授)

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GL尋常性痤瘡治療ガイドライン2017

GL尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023

ニュートピックス

・近年,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防のため常時マスクを着用する者では,痤瘡の罹患率が31%と高くなることが系統的レビューで示された(Contact Dermatitis 87:473-484,2022)

治療のポイント

・尋常性痤瘡の治療は,「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」に従って急性炎症期(原則3か月まで)と維持期(3か月以降)の2病期に分けて決定する.

・急性炎症期の皮疹を早期改善することで,痤瘡後の炎症後色素沈着や瘢痕の回避が可能となる.

・酒皶の治療は,2022年5月から,メトロニダゾールゲルの外用が保険適用となった.抗炎症作用や免疫抑制作用を有し,効果が期待されている.

・ニューキノロン系抗菌薬は妊娠時の使用が禁忌である.

Ⅰ.痤瘡

◆病態と診断

A病態

・思春期の①内分泌ホルモンの亢進により,②毛包漏斗部の角化異常,③皮脂分泌亢進が生じる結果,面皰を中心とする非炎症性痤瘡が形成される.

・その後,毛包内は嫌気状態となり,ニキビ菌(Cutibacterium acnes)が増殖.自然免疫による好中球の遊走やリパーゼによる遊離脂肪酸の放出によって,紅色丘疹膿疱などの毛包中心性の炎症性痤瘡が形成される.

B診断

・思春期の男女の顔面,前胸部,上背部に上記のような皮疹が慢性にみられることから診断する.

・鑑別診断として,酒皶,酒皶様皮膚炎(ステロイド酒皶),脂漏性湿疹,好酸球性膿疱性毛嚢炎,顔面播種状粟粒性狼瘡などを想起する.

◆治療方針

A急性炎症期

Px処方例 軽症では,下記の外用薬のいずれかを用いる.面皰の抑制効果が期待できる1)~3)が第1選択(推奨度A)となるが,皮膚刺激や不快症状の発生が多いため,必要ならショートコンタクトセラピーも考慮する.炎症

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