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GL産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023
治療のポイント
・周閉経期は,うつ病発症のハイリスクであり,更年期障害診療時に鑑別が必要である.
・薬物療法としては,SSRI/SNRI,HRT,漢方薬などが使用される.
◆病態と診断
A病態
・周閉経期はエストロゲンレベルの変動が大きく,セロトニンなどの神経伝達物質に影響する.
・更年期には,家庭・社会での環境変化(心理社会的変化)からの心理的ストレスが大きく,ホルモン変動と重なり複合的な誘因となる.
B診断
・米国精神医学会のDSM-5(精神疾患診断統計マニュアル)のうつ病診断基準に基づく.
・SDS(self-rating depression scale)などの心理テストをスクリーニングとして利用する(ただし,診断とはならない).
・更年期障害としてのホルモン補充療法(HRT:hormone replacement therapy)などの治療に抵抗性の場合には,うつ病の可能性を考慮する.
◆治療方針
多因子が関与していることから,最初に社会心理的背景を含めた十分な問診を行う必要性は,更年期障害と同様である.非薬物療法としては,カウンセリングや心理療法を行う.薬物療法を以下に示す.これらを併用してもよい.
AHRT
更年期のうつ症状に対して有効であり,うつ症状を伴う更年期障害に投与する.
処方例は「更年期障害」の項(→)を参照.
B向精神薬
一般のうつ病と同様に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:selective serotonin reuptake inhibitor)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI:serotonin・noradrenalin reuptake inhibitor)が有効である.投与初期数週間の嘔気・嘔吐により内服できない場合がある.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
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