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治療のポイント
・小児の発疹をみたら,ウイルス性など感染症に伴うものなのか,薬疹・食物などに対するアレルギー疾患なのかを見極める.
・発疹と発熱の時間関係,発熱の型,発疹の形態と分布の3点に注意して所見をとる.
・ウイルス性発疹症では抗ウイルス薬があるものは限られており,ほとんどは解熱薬,かゆみや痛みに対する外用消炎薬,補液など対症療法のみとなる.
・薬剤性が疑われる場合はただちに被疑薬剤を中止し,皮疹に対する消炎・鎮痒薬投与を行う.
◆病態と診断
A病態
・ウイルス性発疹症は,原因ウイルスが経気道または経口感染し,所属リンパ節で増殖し,血行性に全身臓器に拡がり,感染細胞は変性・脱落し,一方で免疫細胞による炎症反応が起こり皮膚に発疹を形成する.
・薬剤性は経口・経直腸,または経血管性に侵入した薬剤に対するアレルギー反応により,皮膚に発疹を形成する.
B診断
・発熱の時期,発疹の形態や性状,経過について詳しく問診し,発熱と発疹の出現順序,発熱の型,発疹の形態に注意して所見をとる.
1)麻疹:二峰性発熱を示し,2回目の発熱とともに発疹が出る.
2)風疹:発熱と同時に発疹が出る.
3)猩紅熱:発熱後24時間以内に発疹と咽頭痛がほぼ同時に始まる.
4)突発性発疹:乳幼児の初めての高熱が3日ほど続いたのち,解熱とともに発疹が出る.
5)川崎病:発熱と頸部リンパ節腫脹から4~5日遅れて発疹が出始める.
・発疹の形態から大まかな鑑別ができる.
1)紅斑・丘疹:麻疹,風疹,突発性発疹,伝染性紅斑,エンテロウイルスによる発疹症,猩紅熱,川崎病の非定型発疹,薬疹など.
2)水疱:水痘,帯状疱疹,単純ヘルペス,手足口病,伝染性膿痂疹など.
3)浮腫性紅斑:川崎病,じん麻疹,多形滲出性紅斑,ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS:staphylococcal scalded skin syndrome)など.
・口腔粘膜疹