頻度 ときどきみる(米国の疫学データでは小児10万人あたり10.8人,本邦では年間150例前後発症する)
GL小児がん診療ガイドライン 2016年版
治療のポイント
・臨床像,病理組織診断,分子生物学的予後因子により低・中間・高リスクに分類して,リスク別に治療方針を決める.
・高リスク症例に対しては,化学療法・外科療法・放射線治療を組み合わせた集学的治療を行う.最新の治療成績においても生存率は50%前後であることを念頭におく.
・超低リスク症例のなかには無治療で自然退縮する症例がある.
◆病態と診断
A病態
・副腎髄質および交感神経幹に発生する小児固形癌で,脳腫瘍に次いで頻度が高い.
・遠隔転移はリンパ節,骨髄,骨の頻度が高く,次いで皮膚,肝,肺,中枢神経系などにも転移する場合がある.
・国際標準の病期分類は,国際神経芽腫リスクグループ(INRG:International Neuroblastoma Risk Group)によるものが適用されており,画像による手術リスク(IDRF:image-defined risk factor)の有無,遠隔転移の有無および特殊な予後良好な病態によりL1,L2,M,MSに分類される.
・オプソクローヌス・ミオクローヌス症状を呈する症例がある.
・椎間孔から脊柱管内に腫瘍が侵入し,脊髄圧迫から神経症状(下肢麻痺,膀胱直腸障害など)を呈するdumbbell型腫瘍の発育形式をとる症例がある.
・後縦隔原発例ではホルネル症候群を呈する症例がある.
B診断
・症状:発熱,食思不良,疼痛,腹部腫瘤,リンパ節腫脹,皮下腫瘤,眼窩出血斑,下肢麻痺,膀胱直腸障害,オプソクローヌス・ミオクローヌス,ホルネル症候群など.
・尿検査:バニリルマンデル酸(VMA),ホモバニリン酸(HVA).
・血液検査:神経特異エノラーゼ(NSE),乳酸脱水素酵素(LD),フェリチン.
・胸部単純X線検査:縦隔原