治療のポイント
・診断にはMRIあるいはCTの画像検査が必須である.
・感染,非感染性の炎症,腫瘍の鑑別を行う.
・疾患によっては病変の生検あるいは全摘出を行う.
Ⅰ.眼窩蜂巣炎(眼窩蜂窩織炎)
◆病態と診断
・細菌感染による急性炎症で,眼瞼腫脹,発赤,疼痛がみられる.
・副鼻腔感染,外傷,齲歯・抜歯などが原因となることが多く,眼窩骨膜下に膿瘍を形成することがある.
◆治療方針
取り急ぎ抗菌薬の全身投与を行う.画像検査で膿瘍を認めるときは,手術による排膿を行う.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.あるいは併用する.
■帰してはいけない患者
・画像で眼窩膿瘍がみられる症例では,手術,抗菌薬の点滴などの入院治療が必要である.
Ⅱ.特発性眼窩炎症
◆病態と診断
・原因疾患が特定できない非感染性の眼窩の炎症である.
・症状が感染性眼窩蜂巣炎に似ることがあるが,抗菌薬の投与に反応しない.
◆治療方針
ステロイドの全身投与が治療の基本である.眼窩蜂巣炎との区別がつきにくいときには,まず抗菌薬の投与を優先する.
Px処方例
プレドニゾロン(プレドニン薬)錠 1回30mg 1日1回 7日間.以降漸減
!注意 ステロイドの全身投与に際しては,真菌症の疑いがないか留意する.
Ⅲ.甲状腺眼症
◆病態と診断
・眼球突出,上眼瞼後退,眼球運動障害,眼位異常などがみられ,重症例では視神経症を伴う.
・画像ではしばしば複数の外眼筋腫大がみられる.
◆治療方針
炎症の活動期ではステロイドパルス治療が基本となる.眼窩減圧手術の適応となる症例もある.
Px処方例
メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール薬)注 1回1g 1日1回 点滴静注 3日間連続後,休薬4日間を1クールとして,2