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GL抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎診療ガイドライン(2014)
GL多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017
治療のポイント
・正確に鑑別診断する.
・長期の免疫抑制が必要となることがある.
・ステロイドが中心となるが,分子標的薬が開発されている.
◆病態と診断
A病態
・視神経炎は視神経の炎症性脱髄疾患の総称で,視神経乳頭腫脹をきたす視神経乳頭炎と,腫脹のない球後視神経炎に大別される.
・多発性硬化症や視神経脊髄炎の初発症状として発症することがある.
・視神経炎を発症する自己抗体として,アクアポリン4(AQP4)抗体,ミエリンオリゴデンドロサイト糖蛋白質(MOG)抗体が発見されている.
・自己抗体が陰性で予後良好な場合,特発性視神経炎として扱われる.
・AQP4抗体陽性視神経炎は,neuromyelitis optica spectrum disorder(NMOSD)の診断基準を満たし,長期にわたる免疫抑制で再発を予防する必要がある.
・MOG抗体陽性視神経炎はステロイドに良好に反応することが多い.さまざまな中枢神経症状を呈するMOG抗体関連疾患の概念が確立しつつある.
B診断
・急性・亜急性に発症し進行する視力・視野異常を認めた場合,視神経炎を考える.
・MRI脂肪抑制造影T1強調像で,ガドリニウムによる造影効果を確認する.short tau inversion recovery(STIR)法でも病変は高輝度に描出されるが,視神経萎縮でも輝度が上昇するため,発症時期を考慮する必要がある.
・AQP4抗体測定は必須である.
・眼痛・眼球運動時痛は,視神経炎に特徴的な症状であるが,AQP4抗体陽性視神経炎では疼痛がないことも多い.
・中心暗点を認めることが多いが,AQP4抗体陽性視神経炎では,水平半盲や垂直半盲の傾向を示す場合もある.
・難治性の吃逆はNMOSDの可能性を示唆する.