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治療のポイント
・慢性副鼻腔炎はさまざまな炎症による鼻副鼻腔疾患の総称であり,炎症のタイプを見極めたうえで適切に治療を選択することが重要である.
・細菌感染による好中球性炎症,真菌感染,歯性炎症などがあり,好酸球性副鼻腔炎とは区別する必要がある.
◆病態と診断
A病態
・副鼻腔炎は感染やアレルギーによって鼻副鼻腔に炎症をきたす疾患の総称である.鼻閉,鼻汁,後鼻漏,頭痛,嗅覚障害などの症状をきたし,4週以内のものを急性,12週以上持続するものを慢性副鼻腔炎と定義している.
・慢性副鼻腔炎は蓄膿症として知られている非好酸球性副鼻腔炎と好酸球性副鼻腔炎に分類され,前者は好中球性炎症,後者は好酸球性炎症を呈し病態が大きく異なる.本項では非好酸球性副鼻腔炎を中心に述べる.非好酸球性副鼻腔炎と好酸球性副鼻腔炎の違いと診断基準を表1図,表2図に示す.
・副鼻腔真菌症は,重篤な症状を呈する浸潤性と炎症が副鼻腔に限局する非浸潤性に分類され,前者は急性(劇症型)と慢性に,後者は慢性(寄生型)とアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS:allergic fungal rhinosinusitis)に分けられる(表3図).浸潤性は何らかの原因で免疫状態が不全または低下した患者に日和見感染として発症することが多く,組織浸潤を伴う.急性浸潤性の場合,骨破壊を伴って周辺臓器へ波及し,急激に発症する高度の頭痛,視力障害,脳神経症状が認められる.慢性非浸潤性(寄生型)は副鼻腔真菌症のなかでは日常臨床で最もよく目にする真菌症で,高齢者で偶然発見されることも多い.AFRSは副鼻腔で増殖した真菌に対するアレルギー反応による疾患である.
・歯性上顎洞炎は上顎歯の感染が上顎洞内の粘膜に波及することによって起こる疾患で,抜歯,根管処置後に生じることも多い.症状には,上顎洞の炎症による膿汁の流出,頬部痛がある.
B診断
1.理学
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