診療支援
診断

8 院内発症下痢症

院内発症下痢

院内発症(入院>3日)の下痢は通常の病原性細菌や寄生虫によるものは稀であり,まず医原性を疑う.例外は基礎疾患のある高齢者や好中球減少者・HIV感染症者である.

内科病棟で33%に院内発症の下痢症あり.29%が感染性だが,45%が医原性である〔Am J Infect Control. 1995 Oct; 23(5): 295-305〕.

▶薬剤性大腸炎は上行結腸・横行結腸を中心に区域性に出現することが多い.NSAIDや抗菌薬が多い原因である.

▶出血性大腸炎は経口ペニシリン服用後5-7日後に発症するのが典型的である.Klebsiella oxitocaが原因とされる.右側結腸に病変があることが多い.

C. difficile関連下痢(偽膜性腸炎を含む)

入院患者では非常に多く,(特に嫌気性菌を含んだ広域をカバーする)抗菌薬投与後1週間〜2か月以内の発症が多い.

芽胞によりアルコール消毒に耐性があるので,下痢患者診察時には手袋・手洗いが重要である.

再発が多い.

古典的にはクリンダマイシンで有名だが,使用頻度の問題から第3世代セフェムでの発生が現在では多いと考えられている.今後はニューキノロンによる症例が増えると思われる.

▶キノロン系が最もリスクが高くHR=3.44(2.65-4.47)で,第3世代セフェムやマクロライド・CLDM・βラクタマーゼ阻害薬合剤はHR=1.56-1.89〔Clin Infect Dis. 2005 Nov 1; 41(9): 1254-60〕.

▶PPIはOR=1.74(1.47-2.85)で発症リスクである〔Am J Gastroenterol. 2012 Jul; 107(7): 1011-9〕.

メトロニダゾール治療後の再発率は0-17歳,18-64歳,65歳以上でそれぞれ25.0%,27.1%,58.4%と高率〔Clin Inf

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?