診療支援
診断

19 逆流性食道炎

逆流性食道炎のリスク

高齢・食道裂孔ヘルニアなどとの関連も強いが,臨床的には肥満,食餌内容,食後体位,喫煙,アルコール,薬剤(Ca拮抗薬,亜硝酸薬,テオフィリン)が生活指導上重要である.

人口の1.5-7%で見られるとされ,50歳以上では加齢と共に漸増する高頻度の疾患である.

胃切除後や強皮症(食道蠕動運動低下),妊娠(腹腔内圧+エストロゲン・プロゲステロンによるLES圧低下),経口避妊薬もリスク要因となる.

食餌は過食や高カロリー食(チョコレート,和菓子,高脂肪食,餅)・刺激物を避けさせて,食後は3時間の仰臥位禁止が望ましい.

逆流性食道炎の症状

胸やけと胃酸逆流感が最も重要な症状.胸骨後痛やゲップも頻度の高い症状.

高齢者では胸やけ・疼痛という典型的症状が少なく,食欲不振や嘔吐を呈することも多い.また,鉄欠乏性貧血が進行して見つかることもある.

胸やけが乏しく嗄声・慢性咳嗽・誤嚥などの咽頭喉頭逆流症状が目立てば,潰瘍瘢痕による狭窄や食道癌による狭窄を否定する必要あり.

食道pH測定にての異常予測

高齢者と逆流性食道炎

▶鉄欠乏性貧血の9.2%は食道裂孔ヘルニアによる食道炎や食道潰瘍が原因〔Aliment Pharmacol Ther. 2004 Mar 15; 19(6): 663-70〕であり,平均70歳の食道裂孔ヘルニアの報告では胃酸逆流症状よりも貧血が前面に立つことが多い〔Acta Clin Belg. 2005 Sep-Oct; 60(4): 166-72〕としている.

▶高齢女性では圧迫骨折による脊柱後彎により食道裂孔ヘルニアが高頻度であり〔Osteoporos Int. 2002; 13(4): 331-6/J Clin Gastroenterol. 2008 Apr; 42(4): 345-50〕,逆流性食道炎の素因として重要である.


逆流性食道炎と食道癌の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?