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10 ヘルペス脳炎

ヘルペス脳炎

ウイルス性脳炎の中で最も多い.

単純ヘルペスウイルス1型の再燃による発症が多い.

適切な治療を行うことで死亡率を70%から20-30%にすることができるが,多くは後遺症を残す.

感染性脳炎の原因(1989-91年,1,971例)

▶日本におけるヘルペス脳炎の頻度は3.5/100万人年〔Intern Med. 2002 Jun; 41(6): 420-8〕.


20歳以下が1/3,50歳以上が1/2であり〔Lancet. 2002 Feb 9; 359(9305): 507-13〕,いかなる年齢にも発症しうる.

再感染・再燃(70%)が初感染(30%)より多い〔J Infect Dis. 1982 Jun; 145(6): 829-36〕.

ヘルペス脳炎の90%以上はHSV-1が原因である.HSV-2は髄膜炎・脊髄炎を起こすことが多いが,新生児やHIV患者には初感染で脳炎が起こりうる.

ヘルペス脳炎の予後

ヘルペス脳炎の病歴・身体所見

数日の経過で進行する発熱と精神神経症状で発症する.

発熱・意識障害・神経巣症候は高頻度であるが,髄膜刺激徴候は半数でのみ認める.

側頭葉〜辺縁系脳炎として発症することが多く,記憶障害,性格変化・行動異常,痙攣,嗅覚や味覚の変化,Klüver-Bucy症候群を来しうる.

口唇ヘルペスの既往や皮疹がなくても否定的根拠とはならない.

単純ヘルペスウイルスによる中枢神経感染症のタイプ

▶辺縁系脳炎は単純ヘルペス以外のウイルスによる辺縁系脳炎(VZV,CMV,HHV-6,エンテロウイルス),傍腫瘍性辺縁系脳炎(肺小細胞癌,精巣癌,卵巣奇形腫が多い),自己免疫疾患関連性辺縁系脳炎(橋本病,SLE,Vogt-小柳-原田病),その他(骨髄移植合併辺縁系脳炎)が知られている〔JIM. 2011; 21(2): 100-3〕.

▶90%以上は発熱と神経

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