【概説】昆虫や寄生虫,ヒゼンダニ(疥癬虫)などによる皮膚疾患では,その原因となる虫を直接捕獲,あるいは検出することで診断が確定する.しかし虫刺症では痒みを伴う紅色丘疹が孤立性に分布する臨床像を呈することが多く,皮疹だけでは原因虫を確定できないため,原因虫が不明のまま推定診断をせざるを得ない場合も多い.特別な検査はなく,病歴と皮疹の数,部位,分布などから原因虫を推定する.
検査の進め方
1.昆虫
①シラミ症:アタマジラミ症は毛髪内に生息する虫体,あるいは毛髪に固着する虫卵を確認すれば診断が確定する.成虫(図2-7)図は体長2~4mmで毛髪の間を素早く移動するので見失いやすい.虫卵(図2-8)図は約1mmで主に耳介後部や後頭部の毛髪に付着しているが,ヘアキャスト(毛髪に輪状に付着する鱗屑)と間違うことがあるので,ダーモスコピーやルーペで確認する.コロモジラミ症の場合,成虫,幼虫は衣類や寝具の隙間に潜