診療支援
治療

昆虫,寄生虫,ヒゼンダニの検査法
Tests for diseases induced by insects,parasites and Sarcoptes scabiei
夏秋 優
(兵庫医科大学教授)

【概説】昆虫や寄生虫,ヒゼンダニ(疥癬虫)などによる皮膚疾患では,その原因となる虫を直接捕獲,あるいは検出することで診断が確定する.しかし虫刺症では痒みを伴う紅色丘疹が孤立性に分布する臨床像を呈することが多く,皮疹だけでは原因虫を確定できないため,原因虫が不明のまま推定診断をせざるを得ない場合も多い.特別な検査はなく,病歴と皮疹の数,部位,分布などから原因虫を推定する.


検査の進め方

1.昆虫

①シラミ症:アタマジラミ症は毛髪内に生息する虫体,あるいは毛髪に固着する虫卵を確認すれば診断が確定する.成虫(図2-7)は体長2~4mmで毛髪の間を素早く移動するので見失いやすい.虫卵(図2-8)は約1mmで主に耳介後部や後頭部の毛髪に付着しているが,ヘアキャスト(毛髪に輪状に付着する鱗屑)と間違うことがあるので,ダーモスコピーやルーペで確認する.コロモジラミ症の場合,成虫,幼虫は衣類や寝具の隙間に潜み,卵は衣類の襟や下着の線維の合間に付着している.虫体の形態はアタマジラミと同様であるが,皮膚では虫体,虫卵ともに検出できない.ケジラミ症は主に陰毛部で生活しているケジラミの虫体(図2-9),あるいは陰毛に付着する卵(図2-10)を検出すれば診断が確定する.ダーモスコピーやルーペで虫体や虫卵を確認する.ケジラミは時には体毛や睫毛から検出されることもある.②ハチ刺症:ハチ刺症では,患者本人が刺されたことを自覚している場合が大半である.刺したハチが捕獲されていない場合,ハチの種類は刺された状況や患者の記憶から推定するしかない.ミツバチの場合は毒針が皮膚に残っていることがあり,ルーペで確認できるが,アシナガバチやスズメバチでは毒針は残らない.ハチ毒に対する即時型アレルギーの検索にはハチ毒特異的IgE抗体(ミツバチ,アシナガバチ,スズメバチ)の測定を行う.ハチアレルギーの確定診断には皮膚テスト

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