診療支援
治療

ダーモスコピー
Dermoscopy
田中 勝
(東京女子医科大学附属足立医療センター教授)

【概説】いうまでもなくダーモスコピーは色素性皮膚病変の診断に欠かせない検査であるが,最近では,あらゆる皮膚病変の詳細な観察所見が蓄積されてきており,疥癬の診断,膠原病の後爪郭毛細血管の評価,脱毛症の鑑別,疣贅や光線角化症の診断および治療効果判定にも欠くことのできない検査となりつつある.


検査の進め方

 ダーモスコピーには観察用か記録用かに特化しているものが多く,それぞれに偏光タイプとジェルタイプがある.疾患によりアプローチは多少異なるが,一般的な順序としてはジェルを使わない偏光タイプで非接触の観察を行い,必要に応じてジェルタイプでの観察や記録を行う.タイプにより観察できる所見に向き不向きがあることを知っておくとよい.例えば稗粒腫様囊腫や青白色構造はジェルタイプのほうが観察しやすく,基底細胞癌や皮膚線維腫でみられ真皮浅層の線維化を反映する光輝性白色領域は偏光タイプのみで明瞭に観察できる.また角層表面の凹凸はジェルなし,偏光なしの条件(つまり普通のルーペ)でなければ観察できない.つまり,偏光およびジェルの有無により4通りの方法をうまく使い分けるとよい.

 ダーモスコピーによる診断方法はさまざまなものが提案されており,ここですべてを紹介するには紙面が足りない.ここでは代表的と思われる2段階診断法(改訂版)を紹介する.

1.2段階診断法(改訂版)

 2000年にインターネット上でなされたConsensus Net Meeting on Dermoscopy(CNMD)でSoyerとArgenzianoが中心となり2段階診断法が実施され,詳細に評価された(Argenziano G, et al:J Am Acad Dermatol 48:679-693, 2003).その後,2010年にMarghoobらが血管所見を追加して改訂版を提案した(Marghoob AA, et al:Arch De

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?