診療支援
治療

非ステロイド外用薬
Topical non-steroidal anti-inflammatory drugs
矢上 晶子
(藤田医科大学ばんたね病院・総合アレルギー科教授)

【概説】非ステロイド外用薬はNSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛薬)を含有する外用薬を示す.本薬剤には,湿疹などの皮膚疾患を対象とする薬剤と消炎鎮痛を目的とした整形外科的な疾患を対象とする薬剤がある.適応疾患の幅は広いがアレルギー性接触皮膚炎,さらには全身性の薬疹を起こす薬剤もあり,近年はその使用が減ってきている.

【作用機序】NSAIDsの作用機序に基づき,プロスタグランジンや炎症性サイトカインの産生,血管透過性や白血球遊走などの抑制作用が挙げられる.

【適応】湿疹・皮膚炎,アトピー性皮膚炎,熱傷潰瘍,放射線潰瘍,褥瘡,尋常性乾癬,接触皮膚炎,酒皶様皮膚炎,口囲皮膚炎,帯状疱疹,尋常性痤瘡(クリームのみ).

【使用方針】NSAIDs外用薬は抗炎症効果を期待し,さまざまな皮膚疾患に使用されるが,その効果は限定的で,無効な場合は早期に中止する.ステロイド外用薬との併用や混合は,本剤の接触皮膚炎がマスクされる可能性があり,行わないことが勧められる.また,NSAIDs外用薬の使用により皮膚病変が増悪した際はアレルギー性接触皮膚炎を考慮しパッチテストを実施する.

【副作用】消炎鎮痛外用薬に配合される主剤のNSAIDsはアレルギー性接触皮膚炎を起こすことが知られ,ブフェキサマク(アンダーム軟膏・クリーム,一般用医薬品にも頻用:現在は販売中止)やイブプロフェンピコノール(スタデルム軟膏・クリーム)は接触感作原性が高いとされる.これらは薬剤自身または交差反応する同系統の内服薬により,外用薬による接触感作後に全身性接触皮膚炎としての薬疹が誘発されることがある.また,ケトプロフェンに代表されるアリルプロピオン酸系のNSAIDs(モーラステープ)は光接触皮膚炎を引き起こすことで知られ,ケトプロフェン外用薬と交差反応する同じ系統の各種外用薬・内服薬でも光接触皮膚炎や光線過敏型薬疹が誘発される.さらに,

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