診療支援
治療

硬結性紅斑
Erythema induratum
谷川 瑛子
(慶應義塾大学准教授)

病態

 皮膚結核疹の1つとされている.臨床的に下腿に硬結を伴う紅斑で,しばしば潰瘍化する.病理組織学的に皮下脂肪織の小葉を病変の主座とする小葉脂肪織炎(lobular panniculitis)と血管炎を呈する肉芽腫性脂肪織炎である.

【頻度】成人女性に多く,近年発症年齢が高くなる傾向にある.

【病因・発症機序】かつては結核と関連するものをBazin硬結性紅斑,関連のないものを結節性血管炎(nodular vasculitis)と分けて考えていたが,近年両者は同一疾患として扱われている.発症機序は下肢の循環障害をベースに結核菌などの菌体成分,または免疫複合体が血管壁に付着することにより生じた慢性肉芽腫性反応性病変として現在とらえられている.

【臨床症状】両下肢に浸潤の強い暗赤色紅斑と境界明瞭な皮下硬結が単発または多発し,しばしば潰瘍化し,瘢痕を形成することを特徴とする.下肢循環障害を伴うことが多い.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】結節性紅斑,結節性動脈炎,血栓性静脈炎,蜂窩織炎,硬化性脂肪織炎,深在性エリテマトーデスなど.

【問診で聞くべきこと】結核感染の既往.

【必要な検査とその所見】①病理組織学的検査:炎症の主体が脂肪織小葉にあるlobular panniculitisであることを確認する.ほかに類上皮細胞浸潤を伴う肉芽腫を認め,典型例では中心に乾酪壊死像を有する結核性肉芽腫を呈する.血管炎を認める症例では以前結節性血管炎とされたが,近年使用されなくなっている.生検組織PCR法による病変部結核菌のDNAの検出.②その他の検査:クォンティフェロンTBゴールド(QFT)検査を行う.ツベルクリン反応は強陽性.

【診断のポイント】皮膚症状,QFT検査陽性またはツベルクリン反応強陽性.病理組織学的にlobular panniculitisの所見と結核菌の存在(PCR法を含む)の証明.


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