病態
好酸球性膿疱性毛包炎(EPF)は,瘙痒を伴う毛包一致性の無菌性膿疱が主に顔面に出現する疾患である.膿疱は多数の好酸球を含む.1970年に太藤重夫らが提唱した疾患概念で,病因は明らかでない.インドメタシン(インテバン)が奏効する.
【頻度】20~30歳代に好発する.男女比1:1である.
【病因・発症機序】PGの関連が示唆されるが詳細は不明である.毛包への好酸球遊走は好酸球走化性因子(eotaxin)が関与する.血中好酸球数,IL-5などのTh2型サイトカイン,CRTH2陽性CD4陽性T細胞が増加する.HIV感染者,造血系悪性腫瘍患者,造血幹細胞移植患者がEPFを発症することがあり,全身性の免疫変調の存在が推測される.
【臨床症状】①主に顔面に滲出性紅斑を伴う毛包一致性の瘙痒性丘疹として出現する(図11-1a)図.無菌性膿疱が環状配列し,中心治癒傾向を示しつつ遠心性に拡大する局面を形成する(図11-1b)図.体幹四肢にも出現しうる(図11-1c)図.②古典型(いわゆる太藤病):明らかな基礎疾患がない.好発部位は顔面(88%),体幹(40%)で,掌蹠にも18%に観察される.③免疫抑制関連型:免疫抑制状態に関連して発症する.瘙痒が強く,紅斑を背景とした孤立性丘疹を特徴とする(図11-2)図.
【特に注意すべき臨床症状】①掌蹠に出現した場合は掌蹠膿疱症と鑑別する.②HIV感染症・造血系悪性腫瘍・造血幹細胞移植後に瘙痒の強い毛包一致性丘疹・膿疱をみた場合は,EPFを想起する.
診断
顔面を主とした難治性の痤瘡様,湿疹様発疹をみたら本症を疑う.膿疱内容のギムザ染色,毛包を含む皮膚生検を実施する.
【鑑別診断で想起すべき疾患】白癬,毛包虫/疥癬,細菌性毛包炎,痤瘡,掌蹠膿疱症,酒皶,酒皶様皮膚炎,顔面播種状粟粒性狼瘡(LMDF),虫刺症,脂漏性湿疹,菌状息肉症.その他,水疱性類天疱瘡,Wells
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/アセメタシン《ランツジール》
- 治療薬マニュアル2024/インドメタシン ファルネシル《インフリー》
- 治療薬マニュアル2024/ミノサイクリン塩酸塩《ミノマイシン》
- 治療薬マニュアル2023/ジアフェニルスルホン《レクチゾール プロトゲン》
- 治療薬マニュアル2024/ジアフェニルスルホン《レクチゾール プロトゲン》
- 治療薬マニュアル2024/インドメタシン《イドメシン インテバン》
- 治療薬マニュアル2024/タクロリムス水和物《プロトピック》
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/顔面にニキビ様皮疹を生じる疾患
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/多形紅斑
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/黄色調の皮膚腫瘍
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/結節性紅斑
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/持久性隆起性紅斑
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/遺伝性掌蹠角化症
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/Gibertばら色粃糠疹
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/Duhring疱疹状皮膚炎
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/角層下膿疱症
- 今日の診断指針 第8版/膿疱性乾癬