病態
移植片対宿主病(GVHD)とは,造血幹細胞移植などにより移植された提供者の免疫担当細胞(主にT細胞)が宿主に拒絶されずに生着したあとに,宿主の組織抗原に対して免疫反応を起こした結果,諸臓器の障害をきたす疾患である.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】薬疹,各種ウイルス感染症,細菌感染症.
【臨床症状からの診断】主に攻撃される臓器は皮膚,消化管,肝臓であるが,皮膚症状が先行することが多い.急性GVHDと慢性GVHDに大きく分けられるが,急性GVHDはさらに移植後100日以内に生じる古典的急性GVHDと,100日以降に発症または持続,再燃する非典型的急性GVHDに分類される.慢性GVHDは移植後100日以降に慢性症状が生じる古典的慢性GVHDと,慢性症状と急性症状が混在する重複型とに分類される.
1.急性GVHD(図12-20a)図
多くは移植後2~5週後に発症し,手掌や足底の浮腫性紅斑から始ま