病態
関節リウマチ(RA:rheumatoid arthritis)は,左右対称性の変形性・破壊性多発性関節炎をきたす膠原病である.皮膚症状として,リウマトイド結節(rheumatoid nodule),リウマトイド血管炎(rheumatoid vasculitis)が重要である.これらはRAの罹病期間が長い症例や重症例に多く出現する.
【頻度】リウマトイド結節は全RA患者の20%程度にみられる.
【病因】リウマトイド結節の病因としては,血管炎の存在が指摘されている.リウマトイド血管炎はRAに合併した壊死性血管炎である.
診断
【臨床症状からの診断】
1.リウマトイド結節(図12-21)図
外力を受けやすい肘頭,膝頭,前腕伸側,手背,手指などの関節付近に出現するドーム状に隆起した固い皮下結節であり,自壊したり2次感染を起こすこともある.
2.リウマトイド血管炎
広範な血管がターゲットとなり,真皮細動脈から皮下脂肪織の動脈のみならず静脈までを侵しうる.臨床症状も紫斑,紅斑,網状皮斑,潰瘍,血疱,皮下結節など多彩である.下腿に好発するが,手指など上肢にも生じることがある.
【必要な検査とその所見】疾患活動性の高いRAに発症しやすいことから,血液検査にてRAの疾患活動性を反映する赤血球沈降速度,CRP,MMP-3を測定する.またリウマチ因子も高値を示す例が多い.これらの疾患が疑われる場合には積極的に皮膚生検を行う.
【病理組織学的所見】①リウマトイド結節:3層構造の柵状肉芽腫がみられる.これはフィブリノイド変性をきたした膠原線維を中心として組織球が取り囲み,さらにその周囲をリンパ球,形質細胞が取り囲んだものである.②リウマトイド血管炎:真皮,皮下脂肪織に壊死性血管炎をきたす.病変部の血管壁には免疫複合体の沈着がみられる.血管炎以外にも膠原線維の変性,血管内膜の線維性肥厚,動静脈の血栓など閉塞性血
関連リンク
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/持久性隆起性紅斑
- 今日の治療指針2023年版/血管炎性ニューロパチー
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/アミロイドーシス
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/皮膚硬化を主徴とする疾患
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗Scl-70抗体《抗トポイソメラーゼⅠ抗体》 [保] 157点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗好中球細胞質抗体〔ANCA〕 細胞質性抗好中球細胞質抗体〔PR3-ANCA,c-ANCA〕 [保] 259点
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/好酸球性筋膜炎
- 新臨床内科学 第10版/2 関節リウマチに伴う腎病変
- 新臨床内科学 第10版/9 免疫性ニューロパチー
- 今日の整形外科治療指針 第8版/進行性偽性リウマチ様骨異形成症
- 臨床検査データブック 2023-2024/混合性結合組織病(MCTD)
- 今日の診断指針 第8版/血管炎性ニューロパチー
- 今日の小児治療指針 第17版/混合性結合組織病