病態
鼻,眼,耳,咽喉頭などの上気道のおける血管炎症状が特徴的.PR3-ANCAが疾患特異性あり.血管炎の国際会議でWegener肉芽腫症から多発血管炎性肉芽腫症(GPA)へ病名が変更となった.
【頻度】明らかな性差はなく,推定発症年齢は男性30~60歳代,女性50~60歳代が多い.欧米に多く,日本人に少ない.
【病因・発症機序】ANCA関連血管炎であり,ANCAサイトカインシークエンス理論といわれる免疫複合体が関与しない,ANCAを中心としたメカニズムが知られる.特に,PR3-ANCAは,未治療症例では90%以上で陽性といわれ,その値は病勢を反映するとされている.
【特に注意すべき臨床症状】一般的に発熱,倦怠感,体重減少などの血管炎による全身症状とともに,鼻(膿性鼻漏,鼻出血),眼(視力低下,眼充血,眼痛,眼球突出),耳(難聴,耳漏,耳痛),気道症状(咽喉頭痛,嗄声など)などの上気道の血管炎症状が臨床的な特徴である.当然,顕微鏡的多発血管炎と同様,腎と肺にも血管炎病変をみる.肺症状としては,血痰,咳嗽,呼吸困難など,腎では半月体形成性糸球体腎炎がみられ,血尿,蛋白尿,乏尿,浮腫,高血圧などを呈する肥厚性硬膜炎がみられる.中耳炎発症例はANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)とよばれる.皮膚症状は多くなく,初発症状としての皮膚症状は10%前後とされる.
【必要な検査とその所見】①病理組織学的検査:小血管(毛細管,細小動静脈),皮膚では真皮内の血管を主体とした壊死性血管炎で,血管壁への免疫複合体沈着はないかあってもわずかである(pauci-immuneといわれる).さらに,血管炎周囲を,組織球,類上皮細胞および多核巨細胞などが取り囲み,いわゆる肉芽腫性血管炎をみる.また血管炎とは関係なく組織球,類上皮細胞や多核巨細胞が,核破片と好中球浸潤を混じる膠原線維の壊死巣を取り囲むように柵状に
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