病態
顔面肉芽腫は,組織学的に白血球破砕性血管炎を呈する原因不明の炎症性皮膚疾患である.はっきりとした機序は不明だが,補体の活性化を伴うⅢ型アレルギーが関与しているとする説がある.日光曝露や外傷,放射線照射が原因として想定されている.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】酒皶,サルコイドーシス,深在性真菌症,非結核性抗酸菌症,皮膚エリテマトーデス,皮膚リンパ腫,偽リンパ腫,Sweet病,持久性隆起性紅斑などが鑑別となる.
【臨床症状からの診断】臨床的には,顔面に単発の紅褐色から紫紅色の結節・浸潤局面を呈することが多いが,多発する症例や顔面以外に症状を呈する症例も知られている.臨床症状のみで診断をつけることは不可能である.
【病理組織学的検査】病理組織学的には,grenz zoneを伴い,真皮の血管周囲に好中球,リンパ球,好酸球,形質細胞の混じた炎症細胞浸潤がみられる.毛細血管の拡張を伴い,血管壁に炎症細胞浸潤を認め,白血球破砕性血管炎の像を呈する.一方で,壊死性血管炎の像はみられない.蛍光抗体直接法で,真皮の血管壁にIgG,IgM,C3などの沈着がみられることがある.
治療
第1選択は外用療法である.ステロイドあるいはタクロリムス(プロトピック)が使用されるが,治療が長期に及ぶ可能性があり,副作用が少なく,有効性の高いタクロリムスを優先的に使用する.外用療法で効果がない場合は,ステロイド局注を検討する.以上の局所療法で効果がない場合は,ジアフェニルスルホンやステロイドの内服を行う.液体窒素療法やパルスダイレーザーが有効な症例も報告されている.
Px処方例 下記1)~4)のいずれかを用いる.
1)プロトピック薬軟膏(0.1%) 1日2回 単純塗布
2)ケナコルト-A薬注 1回適量 月1回 皮下注
3)レクチゾール薬錠(25mg) 1回1錠 1日3回 毎食後
4)プレドニン薬錠(5mg) 1回4錠
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