病態
間葉系母斑の一種で,真皮成分の増殖した過誤腫である.従来は膠原線維の増殖したものが結合織母斑と報告されていた.1980年にUittoらは,真皮の細胞外マトリックスの構成成分である膠原線維・弾性線維・プロテオグリカンが増生するものを結合織母斑と定義し,遺伝的素因の有無で分けた分類を提唱した(表21-1)図.結合織母斑は,孤発例と,結節性硬化症や骨斑紋症などの遺伝性疾患の一症状の場合がある.
【頻度】孤発例はまれである.しかし,自覚症状がないため気づかれない例も多いと思われる.
【病因・発症機序】遺伝性疾患に伴うものでは,近年原因遺伝子が同定されている.結節性硬化症ではTSC1とTSC2のいずれかの遺伝子の変異,Proteus症候群ではAKT1遺伝子のモザイク体細胞変異,骨斑紋症ではLEMD3遺伝子の変異がみられる.
診断
臨床像(皮疹の性状や局在性,好発部位や分布),病理組織学的所見,遺伝形式の有無,皮膚以外の随伴病変に注目して診断する.
【鑑別診断で想起すべき疾患】平滑筋母斑,表皮母斑,脂腺母斑,線維腫症,環状肉芽腫,限局性強皮症,瘢痕,ケロイド.
【臨床症状からの診断】結合織母斑の臨床像は病型によって異なり多彩である.一般的に,結合織母斑は,出生時からみられることもあるが,3歳頃に生じることが多く,思春期に出現する例もある.好発部位は体幹,次いで四肢で,頭頸部に生じることは少ない.多くは単発性だが多発することもある.
以下,代表的な病型を挙げる.
1.膠原線維の増生するもの
①単発性膠原線維腫(isolated collagenoma):最も頻度が高く,従来,結合織母斑と報告されてきた病型である.軽度隆起性の常色,白色,黄白色,淡褐色の結節が,集簇または不規則に配列して局面を形成する.多毛を伴うことがある.自覚症状はない.帯状に分布したり(図21-27)図,脳回転状・敷石状となる
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