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治療

Klippel-Trénaunay症候群,Parkes Weber症候群
Klippel-Trénaunay syndrome:KTS,Parkes Weber syndrome:PWS
平林 恵
(帝京大学医学部附属溝口病院講師)

病態

【疾患名】脈管奇形とは胎生期における脈管形成の異常であり,単純型,すなわち静脈奇形,動静脈奇形,リンパ管奇形,毛細血管奇形と,混合型,すなわちこれらが混在するものからなる.Klippel-Trénaunay症候群(KTS)およびParkes Weber症候群(PWS)は,いずれも混合型脈管奇形に片側肥大症を伴う脈管奇形症候群である.KTSは,1900年にフランスのKlippelとその弟子のTrénaunayの2人により初めて報告され,低流速型脈管奇形(静脈奇形,毛細血管奇形,リンパ管奇形)を主とする.一方PWSは1907年にイギリスのWeberにより報告され,高流速型脈管奇形(動静脈奇形)を主とする.動静脈瘻を伴うものをPWS,伴わないものをKTSと位置づけるが,厳密な区別は難しく,本邦の指定難病281としては,クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の名が採用されている.ICD-11ではangio-osteohypertrophic syndromeの2つのサブタイプとしてKTSとPWSが記載された.

【頻度】Klippel-Trénaunay-Weber症候群として出生100,000人につき1人程度とする研究がある.

【病因・発生機序】明らかでない.KTSにおいては,PIK3CA遺伝子の体細胞変異,PWSではRASA1遺伝子の生殖細胞変異がみられる.いずれも細胞増殖にかかわる遺伝子である.

【臨床症状】KTSおよびPWSでみられる脈管奇形には,静脈奇形(海綿状血管腫),動静脈奇形,リンパ管奇形(リンパ管腫),リンパ管腫症・Gorham病,毛細血管奇形(単純性血管腫・ポートワイン母斑)が含まれる.古典的なKTSでは単純性血管腫,静脈瘤,四肢の片側肥大の3つを呈し,また,脾臓や消化管などからの出血をきたしうる.PWSでは血栓塞栓症,肺静脈瘤,Kasabach-Merritt症

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