病態
皮膚の多発性結節性病変と増殖性・破壊性の多発性関節炎を主症状とし,病理組織学的には病変部へのすりガラス状の細胞質をもつ単球~多核組織球様細胞の浸潤を呈する.症例の約20~30%に内臓悪性腫瘍や自己免疫疾患を合併し,非Langerhans細胞組織球症に含まれるまれな疾患である.
【病因・発症機序】病因の詳細は不明であるが,貪食能をもつ活性化された単球・マクロファージ由来の組織球が反応性に増殖する疾患と考えられている.
診断
【臨床症状】①皮膚病変は褐色から黄色の硬い丘疹・結節で集簇・癒合して局面を呈する.手指や顔,耳,上肢などに好発する.粘膜病変を約半数に認める.②関節病変は多発性関節炎を呈し,対称性,破壊性,進行性である.特に手指の指関節(IP)が侵される.③そのほか,眼,心臓,肺,骨髄などさまざまな臓器での病変の出現が報告されている.
【病理検査】①真皮や滑膜に豊富なすりガラス様の好酸性の細胞質を有する大型の単核~多核組織球様細胞が結節状に密に浸潤する.②特殊染色ではPAS染色・脂肪染色で陽性.③免疫染色では組織球マーカーのCD68が陽性.HAM56も陽性.Langerhans細胞のマーカーのCD1aは陰性.S-100蛋白,第ⅩⅢa因子も陰性.
【鑑別すべき疾患】①サルコイドーシス,皮疹および関節病変のある関節リウマチ,痛風などと鑑別する.②組織学的には組織球系腫瘍との鑑別をする.
【診断のポイント】皮膚に多発性の結節と多発性関節炎があり,組織学的に特徴的なすりガラス様の豊富な細胞質を有する単核~多核の組織球様細胞の密な浸潤を認めることで診断する.
治療
ステロイド,シクロホスファミド,メトトレキサートなどの単独および併用療法が報告されている.近年ではTNF-α阻害薬の使用例もみられる.
まれな疾患であり,最新の論文などを参考に処方薬と処方量を検討する.
□患者説明のポイント 悪性
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