診療支援
治療

隆起性皮膚線維肉腫
Dermatofibrosarcoma protuberans:DFSP
伊東 孝通
(九州大学講師)

病態

【頻度】隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)はまれな間葉系腫瘍で,年間の発症率は100万人あたり4.2人程度と見積もられている.30~50歳代に好発し体幹に生じることが多いが,四肢,頭頸部,陰部にも発生し,また小児にも生じることがある.

【臨床症状】臨床像は淡褐色調から紅褐色調の瘢痕様の外観で,触診では比較的境界明瞭な硬い結節性病変である(図24-31).メラニンを豊富に含む色素性DFSPはBednar腫瘍ともよばれる.転移は少ないが,局所再発を起こしやすい.


診断

【鑑別診断】臨床的には瘢痕やケロイド,皮膚線維腫が,病理組織学的にはこれらの疾患に加え結節性筋膜炎,線維肉腫,平滑筋肉腫などと鑑別する.

【必要な検査とその所見】青壮年の体幹に生じたケロイド様結節で,HE染色で紡錘形細胞が密に増殖している場合にDFSPを疑う.典型的な病理組織像は,真皮から皮下組織にかけて線維芽細胞様の紡錘形細胞が密に渦巻き状に増殖し,花むしろ様(storiform pattern)とよばれる特徴的なパターンを形成する.腫瘍細胞の異型性や核分裂像は乏しい.皮下脂肪組織では腫瘍細胞が脂肪隔壁や小葉間に浸潤し,取り残された脂肪細胞が蜂の巣様あるいは真珠の首飾り様の外観を呈する.例外はあるが基本的にはCD34染色陽性,factor ⅩⅢa陰性で,皮膚線維腫(CD34陰性,factor ⅩⅢa陽性)と逆の染色パターンを示す.CD34は孤立性線維性腫瘍や紡錘形細胞脂肪腫,軟部神経周膜腫,表在性肢端粘液腫などでも陽性となるため,CD34陽性がそのままDFSPを意味するわけではない.DFSPのなかには線維肉腫様(fibrosarcomatous)変化をきたすものがあり,DFSP-FSとよばれる.DFSP-FSは通常型のDFSPよりも局所再発(29.8%vs 13.7%)および転移(14.4%vs 1.1%)の

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