診療支援
治療

Langerhans細胞組織球症
Langerhans cell histiocytosis:LCH
浅井 純
(京都府立医科大学講師)

病態

 Langerhans細胞組織球症(LCH)は,形態学的,免疫学的にLangerhans細胞に類似したLCH細胞が腫瘍性に増殖し,炎症細胞浸潤を伴って組織障害を引き起こす疾患である.単一臓器型(single system disease)と多臓器型(multi system disease)に分類される.

【病因・発生機序】2010年にBRAFV 600E遺伝子変異が報告されて以降,さまざまなMAPK(mitogen-activated protein kinase)経路の遺伝子変異が報告され,本疾患の発症に強くかかわっていることが明らかとなった.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】アトピー性皮膚炎,脂漏性湿疹,黄色肉芽腫など.

【問診で聞くべきこと】皮疹がいつから出現したのか,受診までどのような治療を受け,どのような経過をたどったのかを聴取する.一般には,難治性の脂漏性湿疹やアトピー性皮膚炎として治療されていることが多く,ステロイド外用薬によって改善しないことが本疾患を疑うポイントとなる.

【臨床症状からの診断】発症年齢により臨床症状が変化する.従来より提唱されてきた,1歳以下に好発するLetterer-Siwe病,2~6歳に好発するHand-Schüller-Christian病,幼児~青年期に好発する好酸球性肉芽腫の3型に分けると臨床症状が理解しやすい.若年者に多いが,成人や高齢者でも生じることがある.頭部,体幹,鼠径部に皮疹が出現しやすい.頭部の皮疹は脂漏性湿疹に類似し,紅斑と黄褐色の痂皮を認める.体幹や間擦部の皮疹は鱗屑や痂皮を伴う多発丘疹であることが多く,出血を伴うことがある(図25-10).そのほかに水疱や紫斑を生じることがある.皮膚以外では,骨病変(骨破壊像),眼病変(眼球突出,視力消失など),内分泌異常(尿崩症,成長障害など)などがみられる.

【必要な検査

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