病態
A群レンサ球菌や黄色ブドウ球菌による表在性の感染症で手部水疱性膿皮症(pyoderma bullosa manuum)の一型である.手指遠位部の指球部の大型水疱を特徴とする(図27-2)図.小児に多い.
【病因・発症機序】A群レンサ球菌や黄色ブドウ球菌による.B群レンサ球菌によるものも報告されている.
【臨床症状】手指の遠位部の指球部前面に表在性水疱,まれに足趾にも生じる.通常1指だが,まれに複数指に生じる.時に爪周囲にも拡大する.薄く白濁する膿汁を認める.熱い鉄板に誤って圧抵したときに生じる熱傷の大型の水疱に酷似する.好発年齢は3~16歳である.発熱,咽頭炎,扁桃炎,リンパ節炎を伴うこともある.
診断
【鑑別診断で想起すべき疾患】熱傷,疱疹状瘭疽などと鑑別を要する.
【問診で聞くべきこと】アトピー性皮膚炎や湿疹病変はないか.
【必要な検査とその所見】①グラム染色:グラム陽性球菌を認める.レンサ球菌は連鎖状配列,ブドウ球菌はブドウの房状に配列する.②細菌培養:A群レンサ球菌や黄色ブドウ球菌を検出する.混合で検出される場合もある.③血液検査:白血球増多,CRP上昇を認める場合がある.レンサ球菌ではASOが高値の場合がある.
治療
伝染性膿痂疹に準じて治療を行う.黄色ブドウ球菌やレンサ球菌を想定する.セフェム系抗菌薬やペニシリン系抗菌薬,βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系抗菌薬を7~10日間投与する.補助的に外用抗菌薬を使用してもよい.
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
1)ケフラール薬細粒小児用 1日20~40mg/kg(成分量として)を3回に分服
2)クラバモックス薬小児用配合ドライシロップ 1回48.2mg/kg(成分量として) 1日2回
□患者説明のポイント ①A群レンサ球菌や黄色ブドウ球菌による感染症で,手指,足趾に限局した水疱を特徴としていること.②7~10日間程度の抗菌薬
関連リンク
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