診療支援
治療

体部・股部白癬
Tinea corporis,Tinea cruris
佐藤 友隆
(帝京大学ちば総合医療センター教授)

病態

 白癬菌の皮膚への感染で生じる.顔面を含め,手背,足背,生毛が生じている部分の白癬を体部白癬といい,特に湿度が高く難治となることがある外陰部とその周囲を股部白癬という.欧米では他疾患との誤診の注意喚起のために顔面白癬(tinea faciei)と分けている.

【病因・発症機序】白癬菌は大きく,好ヒト性菌,好土壌性菌,好獣性菌に分かれる(表28-1)が,好ヒト性菌以外では一般に炎症症状が強い.爪白癬がありステロイド外用によって体部白癬が顕在化することもある.臀部,鼠径部など高湿度の部位に好発する.


診断

【鑑別診断で想起すべき疾患】環状紅斑を呈する疾患が挙がる.貨幣状湿疹,多形紅斑,乾癬,固定薬疹,環状肉芽腫,カンジダ性間擦疹,癜風,菌状息肉症(皮膚T細胞リンパ腫),家族性良性慢性天疱瘡などが挙げられる.

【特徴的な皮疹】丘疹,小水疱,鱗屑を伴う境界明瞭な環状紅斑として初発し,辺縁は堤防状に

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