診療支援
治療

耳鼻科疾患と関連した皮膚病変
Skin diseases related to otorhinolaryngeal diseases
小林 里実
(聖母病院部長)

Ⅰ 掌蹠膿疱症

病態

 掌蹠に無菌性膿疱の出没を繰り返し,紅斑,鱗屑を伴う.膿疱は掌蹠の汗孔に生じ,しばしば小水疱から膿疱化する.爪病変,時に四肢や頭部,臀部などに掌蹠外皮疹を伴う.

【病因・発症機序】発症契機として,喫煙とともに病巣扁桃,副鼻腔炎,歯性病巣による病巣感染が重要である.扁桃摘出後に血清中のIL-6,IL-8が低下する,α-streptococcusの刺激で扁桃細胞からTNF-α,CLA,CCR6が産生促進されるなどが示されている.


診断

【鑑別で想起すべき疾患】掌蹠型乾癬,汗疱性湿疹,アトピー性皮膚炎の手足病変,接触皮膚炎,好酸球性膿疱性毛包炎,足白癬,梅毒,皮膚悪性リンパ腫など.無菌性膿疱の確認,膿疱化水疱の存在,感染症の否定,必要に応じて皮膚生検を行う.

【問診で聞くべきこと】喫煙歴,扁桃炎や副鼻腔炎の既往,歯科治療歴,自己免疫性甲状腺炎の既往,下痢や便秘の有無,関節症状の有無,家族歴.

【必要な検査とその所見】白血球数とその分画,CRP,血清補体価が炎症の参考になる.ASKは基準値内で高めを示すことがある.自己免疫性甲状腺炎や糖尿病,脂質異常症の有無,歯性病巣の検索.骨関節炎例で単純X線像,MRI T1強調画像と脂肪抑制またはSTIR T2強調像など.瘙痒の強い小水疱多発例で金属パッチテストを考慮する.


治療

病巣治療:この治療を優先する.病巣扁桃の治療は扁桃摘出術である.補助療法として静菌性抗菌薬の内服がある.禁煙,併存症のコントロール,皮疹の対症療法:鱗屑をむしらない,外用薬を擦り込まないなどの外用指導が重要で,活性化ビタミンD3外用薬,ステロイド外用薬,保湿剤,尿素軟膏,亜鉛華単軟膏などを用いる.内服では長期投与でも安全な高用量ビオチンの抗炎症作用を利用することがある(保険適用は1日2gまで).紫外線療法,チガソンも膿疱に有効である.

Px処方例 症状に応じ

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