診療支援
患者説明

急性骨髄性白血病に対する治療
山口博樹
(日本医科大学大学院血液内科学・教授)

1.現在の病状・病態

1)急性白血病とは

 急性白血病は「血液のがん」の1つです.私たちの血液は骨髄でつくられています.骨髄には血液の「種」となる造血幹細胞があり,これが白血球,赤血球,血小板などのいろいろな血球に成長します.急性白血病では,骨髄中に白血病細胞が出現し増殖し続けることによって,正常な血液をつくることができなくなります(図12).このため息切れ,めまい,全身倦怠感などの貧血症状,発熱などの感染症状,鼻出血や皮膚の出血斑などの出血傾向などの症状が出ます.また増殖した白血病細胞は肝臓,脾臓,リンパ節などに浸潤することがあり,時には脳に浸潤をして頭痛や意識障害などの症状が出ることもあります.

2)急性白血病はどのように診断されるか?

 急性白血病は白血病細胞の性質によって大きく急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)と急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia;ALL)に分けることができます.上記のような症状があり,血液検査をすると白血球が増加をしていて,そのなかに正常では認められない白血病細胞が出現していることで急性白血病が疑われます.正確に診断をするには骨髄検査が必要となります.骨髄検査に関しては『内保連グリーンブック「説明と同意」に関する調査報告と提言』1)をご覧になってください.

 骨髄検査で骨髄中に白血病細胞が20%以上あると急性白血病の診断となります.次に白血病細胞がどのような性質をもっているのかを特殊な染色(骨髄球系を示すペルオキシダーゼ染色や単球系を示すエラスターゼ染色など)を用いた顕微鏡での検査,細胞表面に発現をしているマーカー(骨髄球系を示すCD13やCD33など),染色体異常〔t(8;21),t(15;17),inv(16)など〕や遺伝子異常(FLT3–ITD,NPM1変異,CEBP

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