治療のポイント
・口腔内感染症は歯原性が多い.顎骨周囲に蜂窩織炎を生じている場合,どの組織隙に炎症が波及しているか確認する.咀嚼筋隙に炎症が及んでいる場合,開口障害を認めることがある.傍咽頭隙に波及し気道狭窄を生じる可能性,咽後間隙に波及し頸部を通過して降下性縦隔炎を生じる可能性もある.感染性心内膜炎の原因の1つに口腔由来の菌血症が挙げられる.
・重症例では,骨粗鬆症や癌の骨転移に対し投与されるビスホスホネートやデノスマブなどの骨吸収抑制薬に関連する顎骨壊死が背景にないか確認する.
・顎骨周囲軟組織に炎症が波及している場合,まず血液検査を施行し,抗菌薬を全身投与する.empiric therapyとしてβラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリンなどの嫌気活性のある抗菌薬を使用する.膿瘍形成の有無は造影CTで評価し,切開排膿を要する場合すみやかにこれを施行する.
◆病態と診断
A病態
・口腔感染症には,①齲蝕や
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