診療支援
治療

【3】新生児の感染症(敗血症,髄膜炎)
neonatal infection(sepsis,meningitis)
尾内 一信
(川崎医科大学教授・小児科学)

疾患を疑うポイント

●発熱,不機嫌,元気がない,腹部膨満などの非特異的な症状を示すことが多い.

●特徴的な症状に乏しく,「いつもと様子が違う」という家族の訴えも重要な所見である.

●大泉門の膨隆は髄膜炎にしばしばみられる.

▼定義

 出生から生後28日未満の新生児期に発症する感染症.ウイルス,クラミジアの母子感染症もみられるが,本項では細菌による敗血症,髄膜炎について概説する.

▼病態

 母親の胎内から出産して早期の感染症であるので,いくつか特徴がある.母児間の垂直感染産道感染が多い.新生児は細胞性,液性免疫ともに免疫力が未熟なので,特に早産児は重症化しやすい.出産と関連して下部腸管や産道の微生物感染症が多く,大腸菌B群連鎖球菌が主要菌である.ウイルス,クラミジアの感染症に比べて,細菌による敗血症,髄膜炎はより重症であり,対応が遅れると予後不良である.

▼疫学

 新生児期の原因菌は,大腸菌などの腸内細菌

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