診療支援
治療

ハンチントン病
Huntington's disease
村田美穂
(国立精神・神経医療研究センター病院・院長)

◆疾患概念

【定義・病型】

 ハンチントン病は舞踏運動,認知症,精神症状(幻覚,妄想,抑うつ)を主な症状とし,常染色体優性遺伝形式をとる遺伝性疾患である.第4染色体短腕先端部(4p16.3)に存在するハンチントン病遺伝子(IT15)内のCAG反復配列の異常伸長を認める.

【病態・病因】

 線条体,特に尾状核の小型および中型神経細胞の著明な脱落が特徴的で,不随意運動は線条体病変による.病変の主座は線条体といえるが,進行期には大脳皮質の著明な萎縮も認め,認知症については前頭・側頭葉皮質の広範な萎縮がその責任病巣である.

 1993年に原因遺伝子が同定され,エクソン1内に存在するポリグルタミンをコードするCAG反復配列の異常伸長が原因であることが明らかになった.

 CAG反復配列は正常では10-28リピートであるが,患者では36-121リピートに伸長する.このリピート数は発症年齢とよく逆相関し,成人発症では

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