診療支援
治療

進行性核上性麻痺
progressive supranuclear palsy (PSP)
神田 隆
(山口大学大学院教授・神経内科学)

◆疾患概念

【概念・定義】

 40歳以降に発症し,①緩徐に進行するパーキンソニズムparkinsonism,②認知症と③核上性眼球運動障害を中核症状とする孤発性の神経変性疾患である.PSPと略して呼称されることが多い.病理学的には,淡蒼球,視床下核,小脳歯状核,赤核,黒質,脳幹被蓋の神経細胞が脱落して神経原線維変化を認め,同部位の神経細胞およびグリア細胞内に異常リン酸化タウtau蛋白(4リピート型優位)が蓄積するという特徴をもつ.特に,異常リン酸化タウの蓄積によって生じる房状アストロサイトtuft-shaped astrocyteの出現が本症に特徴的な病理所見であるといわれる.

【病態・病因】

 タウ蛋白の異常が病因と関連していると考えられる疾患群(タウオパチーtauopathy)の1つである.しかし,どうして異常にリン酸化したタウ蛋白が神経細胞やグリア細胞に蓄積するのかについては現時点では不明.

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