Ⅰ.膠原病・自己免疫疾患の臨床検査
膠原病(collagen disease)とは,多臓器の結合組織病変,特にフィブリノイド変性のある病変を生じる疾患として提唱された概念である.膠原病は全身性の自己免疫疾患であり,関節,皮膚,筋,腎,心,肺,消化器,神経,血液など多くの臓器が侵される.古典的膠原病として,全身性エリテマトーデス(SLE),強皮症(SSc),多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM),関節リウマチ(RA),結節性多発動脈炎(PAN)がある.リウマチ熱は病因(溶連菌)が明らかなので膠原病からは外す方向にある.その他膠原病類縁疾患として,混合性結合組織病(MCTD),Sjögren症候群,PAN以外の血管炎症候群〔抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody;ANCA)関連血管炎,大動脈炎症候群,側頭動脈炎など〕,成人Still病,Behçet病など多くの疾患がある.また膠原病に属さない自己免疫疾患として,特定の臓器に限定された臓器特異的自己免疫疾患がある.
膠原病を特徴づける症状としては,発熱,全身倦怠感,易疲労感,体重減少,関節痛,関節炎,各疾患に特異性の高い皮膚症状・粘膜症状などがある.このような臨床症状のときに膠原病を疑い,スクリーニング検査(表40図)を行い,臨床症状と併せて特定の膠原病が疑わしければ,さらに検査を進める.ただし,膠原病に関する特異性と感度のよい検査法は少なく,上記のそれぞれの膠原病に特徴的な臨床症状と併せて診断する.診断基準(分類基準を含む)を用いると診断が容易になることが多い.すなわち,膠原病における臨床検査は,1つひとつは確定診断のためでなく,診断の確認と活動性,障害臓器の存在と機能の程度を知る目的で行うものである.しかし,抗核抗体を含めた自己抗体のなかには疾患特異性の高いものがあり,これらが
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