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検査

アミノ酸  
amino acid
橋本 佳明
(入間ハート病院内科)

基準値 表58参照


測定法 HPLC法〔血漿:高速液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)法,尿:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法〕


検体量

・血漿0.5mL

・尿3mL


日数 2~7日


目的 アミノ酸代謝異常の診断


NOTE‍ 保険点数:279点(1種類につき),1,141点(5種類以上)


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 血漿アミノ酸組成の変化は,先天性のアミノ酸代謝酵素異常や後天性のさまざまな異常で生じる.

 先天性アミノ酸代謝異常では,血漿アミノ酸組成の測定は必須であり,早期発見・早期治療(異化障害のあるアミノ酸摂取の制限など)が重要である.先天性アミノ酸代謝異常症の種類と病態生理については成書を参照していただきたい.

 後天性疾患では,治療方針の決定や病態解明のために,アミノ酸組成が測定される.肝臓はアミノ酸代謝の主要臓器であり,肝不全状態では,バリン(Val),ロイシン(Leu),イソロイシン(Ile)などの分枝鎖アミノ酸(branched chain amino acid;BCAA)の低下と,チロシン(Tyr),フェニルアラニン(Phe)などの芳香族アミノ酸(aromatic amino acid;AAA)とメチオニン(Met)の上昇がみられ,Fischer比(BCAA/AAAモル比)は,正常では2.4~4.4であるが,肝不全では著減し,1以下になることも珍しくない.この機序として,①供給不足,②門脈-大循環短絡,③アミノ酸代謝酵素異常などが考えられる.腎不全でも蛋白質・アミノ酸代謝異常(異化亢進,同化低下)が生じ,BCAA,必須アミノ酸,ヒスチジン(His),Tyrが減少する.


[関連する検査]

 肝障害の重症度の評価には,Fischer比やBTRを測定することが多い.


判読

①食事により血漿遊離アミノ酸の量,構成比ともに変化するので,早朝空腹時に採血を行う.1日以上

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