Decision Level

●男性64(女性40)μg/dL以下(基準下限以下)

[高頻度]鉄欠乏性貧血　[可能性]感染症，膠原病，悪性腫瘍，真性多血症　[対策]不飽和鉄結合能(UIBC)，フェリチン，血算などから，鉄欠乏性貧血，症候性貧血，真性多血症を鑑別．原疾患の診断と治療

●男性187(女性162)μg/dL以上(基準上限以上)

[高頻度・可能性]ヘモクロマトーシス，急性肝炎，再生不良性貧血，赤芽球癆，急性白血病，鉄芽球性貧血　[対策]原疾患の診断と治療

異常値のでるメカニズムと臨床的意義

　健常成人の総鉄量は約4gであり蛋白と結合して存在している．約2/3はヘモグロビンと結合して赤血球中にあり，約1/3はフェリチンやヘモジデリンと結合し，貯蔵鉄としてさまざまな細胞に広く分布する．特に肝細胞や肝・脾・骨髄中の網内系細胞に多く存在する．約0.1％がトランスフェリン(Tf)と結合して血漿中に存在する．

　血清鉄の低下は，①Feの喪失(出血)，②需要の増大，③Feを利用できないとき(感染症，膠原病など)にみられる．

　反対に増加する原因として，①多くのFeが体内に入る(頻回の輸血)，②需要の低下，③貯蔵鉄の放出(急性肝炎などによる細胞の崩壊)がある．

[関連する検査]

　Tfが結合しうる総鉄量が総鉄結合能である．UIBCは〔総鉄結合能－血清鉄〕である．

判読

①性差があり，女性は男性に比し低値を示す．月経による失血が主原因と考えられる．②日内変動があり，朝高く，夜低い．③年齢差があり，発育期や高齢者では低値傾向を示す．④溶血で増加．

採取保存

①採血のシリンジ，血液を入れるチューブともに，Feの溶出しないものを