診療支援
検査

Ⅳ型コラーゲン   135点
type Ⅳ collagen
片倉 芳樹
(あおば胃腸内科クリニック院長)
四柳 宏
(東京大学医科学研究所教授・先端医療研究センター感染症分野)

基準値 150ng/mL以下


測定法 ラテックス凝集比濁法


検体量 血清0.4mL


日数 2~4日


目的 肝線維化の程度の把握


Decision Level

●150~600ng/mL(増加)

[高頻度]急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変,アルコール性肝障害,肝細胞癌 [可能性]合併症(血管障害)を伴う糖尿病 [対策]肝機能検査,他の線維マーカー検査,肝生検

●600ng/mL以上(高度増加)

[高頻度]転移性肝癌 [可能性]肝硬変,肝細胞癌 [対策]腫瘍マーカー検査,画像診断,肝生検


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Ⅳ型コラーゲンは基底膜の主要構成成分で,体内に広く分布している.健常者の肝臓では類洞には基底膜は存在しないが,肝の線維化に伴い,類洞の毛細血管化が生じ基底膜構造が出現し,その結果血中にⅣ型コラーゲンが増加する.したがってⅣ型コラーゲンは肝線維化のマーカーとして用いられている.慢性肝炎では急性肝炎より高値を示し,肝硬変では慢性肝炎より高値を示す.肝細胞癌では肝硬変よりさらに高値を示すが,これは癌細胞の増殖に伴う血管新生細胞浸潤による脈管の破壊によると考えられる.転移性肝癌では著明な高値を示すことが多い.

 肝疾患以外では合併症(細小血管症)を伴う糖尿病で増加することが報告されている.


[関連する検査]

①ヒアルロン酸(HA)は臨床的には肝硬変と非肝硬変の鑑別に有用性が高く,C型慢性活動性肝炎におけるIFN治療効果予測にも有用である.②Ⅳ型コラーゲン7Sは肝線維化がある程度進行してから上昇し,組織学上の肝線維化の程度に最も相関するといわれている.③プロコラーゲンⅢペプチド(P-Ⅲ-P)は慢性肝炎では活動性と相関し,肝硬変に肝癌を合併すると著しく上昇する.


判読

①加齢による変動はみられない.②性差は認められない.


採取保存

①早朝空腹時採血.②4℃で1週間は安定であるが,長期保存には冷凍が必要である.

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