診療支援
検査

Ⅳ型コラーゲン7S   148点
type Ⅳ collagen 7S
片倉 芳樹
(あおば胃腸内科クリニック院長)
四柳 宏
(東京大学医科学研究所教授・先端医療研究センター感染症分野)

基準値 5ng/mL以下


測定法 CLEIA法


検体量 血清0.5mL


日数 3~5日


目的 肝線維化の程度の把握


Decision Level

●5~10ng/mL(軽度増加)

[高頻度]慢性肝炎,アルコール性肝障害,肝硬変,肝細胞癌,骨髄線維症 [可能性]急性肝炎,肺癌,糖尿病,妊娠,膜性腎症,甲状腺機能亢進症 [対策]肝機能検査,他の線維化マーカー・腫瘍マーカーの測定,画像診断,肝生検,骨髄穿刺

●10ng/mL以上(高度増加)

[高頻度]アルコール性肝障害,肝硬変,肝細胞癌,転移性肝癌 [可能性]劇症肝炎 [対策]肝機能検査,他の線維化マーカー・腫瘍マーカーの測定,画像診断,肝生検


異常値のでるメカニズムと臨床的意義

 Ⅳ型コラーゲンは基底膜の主要な構成成分である.肝臓の類洞には毛細血管にみられる基底膜構造がなく,肝の線維化に伴い類洞の毛細血管化により基底膜様構造が出現する.新生Ⅳ型コラーゲンの異化や基底膜の破綻により血中濃度が増加すると考えられる.

 急性肝炎では極期に軽度増加するが劇症肝炎では増加の程度が大きく,重症度の判定に役立つ.慢性肝疾患では線維化の程度が強く,活動性が高いものほど高値を示す.現時点では,組織学上の肝線維化の程度に,最も相関しているとされる.肝癌では脈管への浸潤,破壊や癌自体のコラーゲン代謝の亢進により増加するが,特に転移性肝癌では著しく増加する.


[関連する検査]

①ヒアルロン酸(HA)は臨床的には肝硬変と非肝硬変の鑑別に有用性が高く,C型慢性活動性肝炎におけるIFN治療効果予測にも有用である.②Ⅳ型コラーゲンは肝疾患以外では糖尿病に伴う血管合併症や腎症,また肺線維症などにおいても,進行度や治療効果の判定に有効とされる.③プロコラーゲンⅢペプチド(P-Ⅲ-P)は慢性肝炎では活動性と相関し,肝硬変に肝癌を合併すると著しく上昇する.


判読

①臍帯血では成人の2.5倍の血中濃

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