基準値
・全血中Mn濃度:7~15ng/mL
・血清Mn濃度:0.5~2ng/mL
・単核球中Mn濃度:5~13ng/108cells
測定法 硫酸・過塩素酸混合液にて湿式灰化したのち原子吸光法で測定
検体量
・血液2mL
・血清1mL
日数 13~15日
目的 Mn欠乏またはMn中毒の診断
Decision Level
●低下(基準値下限以下)
[可能性]完全静脈栄養,食事摂取不良 [対策]Mnを含む微量金属製剤の投与,経口摂取可能な場合には,緑茶,豆類などの摂取
●上昇(基準値上限以上)
[高頻度]溶接工,精錬工などMn粉塵の多い環境の職業,長期間の完全静脈栄養,井戸水の使用 [可能性]肝疾患(胆汁うっ滞),大豆主体の栄養剤による長期経管栄養,鉄欠乏性貧血,乳幼児,高齢者 [対策]原因の確定と対応,キレート剤(EDTA)投与,Parkinson症候を有する場合にはL-ドーパなどの治療
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
Mnは,硫化物,酸化物などのさまざまな形で100種類以上の鉱物に含まれ,地球上に広く分布する12番目に多い元素である.Mnはすべての動植物にとって必須の微量金属で,骨の発育に重要であるばかりでなく,マンガンスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)をはじめ,抗酸化作用,糖・脂質・蛋白の代謝,運動機能,皮膚代謝などの多くの酵素の反応に関与している.
Mnには欠乏症と過剰症とがあり,わが国では成人男性4.0mg/日,成人女性3.5mg/日が必要量の目安とされ,耐容上限量は男女ともに成人では11mg/日となっている(日本人の食事摂取基準,2020年).Mnはすべての食品中に存在しており,特に緑茶,香辛料,藻類,穀類,種実類,豆類,小魚,貝類に多く含まれている.このため経口摂取が行われている限り欠乏症はまれである.Mnは食品や飲料水の摂取以外にも粉塵の吸入によっても吸収される.曝露経路によ
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