基準値 30~80μg/dL(1.05~2.80μmol/L)
測定法 HPLC
検体量 血清1mL
日数 4~17日
目的 ビタミンAの体内動態の把握
Decision Level
●20μg/dL(0.70μmol/L)以下(低値)
[高頻度]ビタミンA欠乏症(夜盲症) [可能性]吸収不良症候群,肝疾患(過栄養性脂肪肝を除く),閉塞性黄疸,甲状腺機能亢進症,感染症,外傷,亜鉛欠乏症 [対策]ビタミンA〔レチノールパルミチン酸エステル(レチニールパルミテート):3,000~10万IU/日〕を経口投与する.2次性欠乏では原因疾患の治療と食事指導(卵黄などの動物性油脂の摂取)が必要である
●80μg/dL(2.80μmol/L)以上(高値)
[高頻度]ビタミンA過剰症 [可能性]過栄養性脂肪肝,脂質異常症,腎不全,甲状腺機能低下症 [対策]ビタミンAの投与を中止すれば,通常は後遺症を残すことなく治癒する
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
一般にビタミンAという場合にはレチノール(狭義のビタミンA)を指し,その他のビタミンA誘導体(レチニールエステル,レチナール,レチノイン酸など)をも含む場合にはレチノイドと総称される.経口摂取されたレチノイド〔ビタミンA(レチノール),レチニルエステル(主にレチニールパルミテート),プロビタミンA(βカロテン)〕は,小腸でレチニルエステルに転換され,カイロミクロンを介して肝臓に取り込まれる.
肝臓ではビタミンAは肝星細胞(伊東細胞)に貯蔵され,需要に応じてレチノール結合蛋白4(RBP4)と結合して,肝臓から血中へ分泌される.RBP4は血中ではトランスサイレチン(旧名プレアルブミン)と結合して存在する.標的臓器へ輸送されたビタミンAはRBP受容体を介して細胞内に取り込まれ,レチノールからレチノイン酸に変換される.
レチノイン酸は核内受容体であるレチノイン酸受容体
関連リンク
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