基準値 血清α-トコフェロール:0.5~1.1mg/dL(12.0~26.0μmol/L)
NOTE 抗酸化作用が最も高く,血中で最も多い(80~90%)α-トコフェロールを測定する
測定法 HPLC
検体量 血清0.5mL
日数 6~12日
目的 ビタミンE栄養状態の判定
Decision Level
●0.5mg/dL未満(低値)
[高頻度]ビタミンE欠乏症 [可能性]低出生体重児,脂肪性下痢,胆道閉塞,肝硬変,慢性胆汁うっ滞,膵嚢胞性線維症,慢性膵炎,膵癌,グルテン胃腸症,限局性腸炎,無β-リポ蛋白血症 [対策]ビタミンE酢酸塩経口投与
●1.1mg/dL以上(高値)
[高頻度]ビタミンE投与 [可能性]脂質異常症
異常値のでるメカニズムと臨床的意義
食事性のビタミンEは小腸上皮細胞でカイロミクロン中に取り込まれ,肝臓に運ばれる.肝臓で超低密度リポ蛋白(VLDL)に組み込まれたビタミンEは低密度リポ蛋白(LDL)受容体を介して細胞内に取り込まれる.
成人では摂取不足のみによるビタミンE欠乏は起こりにくく,脂肪の吸収,代謝障害に伴って起こる.セレニウムの摂取不足,多価不飽和脂肪酸の摂取増加はビタミンEの必要量を増加させる.
判読
血清α-トコフェロール濃度が0.5mg/dL未満の低値を示す場合には欠乏と考えるが,脂質異常症が認められる場合には赤血球α-トコフェロール濃度を参照し,0.12mg/dL未満を欠乏とする.
採取保存
空腹時に採血する.遮光して保存する.4℃では4週,-20℃では1年程度安定である.
薬剤影響
低下抗痙攣薬(カルバマゼピン,フェノバルビタール,フェニトイン),コレスチラミンにより低下する.
測定前後の患者指導
①多くの疫学調査と前向き研究において,ビタミンEの食事からの摂取量と心血管疾患のみならず,多くの癌の発症率との間に負の相関が認められる.しかし,ビタミンEサプリメントに
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