診療支援
検査

副腎皮質刺激ホルモン〔ACTH〕   189点(包)
adrenocorticotropic hormone
加治 秀介
(兵庫県立大学名誉教授)

基準値 7.2~63.3pg/mL


測定法 RIA(固相法),FIA


検体量 血漿0.5mL(必ずEDTAの入った特別容器で採血)


日数 3~5日


目的 副腎皮質機能異常の診断と評価


Decision Level

表85参照.

■高値

●コルチゾール高値の場合

[高頻度]Cushing病(ACTH産生下垂体腺腫) [可能性]異所性ACTH症候群,異所性CRH産生腫瘍,結節性副腎過形成の一部,神経性食欲不振症,うつ病,ストレス,原発性コルチゾール不応症 [対策]①Cushing病ではACTHの基礎値は基準上限から数百pg/mLであることが多く,その平均は異所性ACTH症候群の基礎値に比べて低いことが多い.ACTH依存性の高コルチゾール血症の鑑別にはデキサメタゾン抑制試験が必要.②ACTH基礎値がきわめて高値である場合は異所性ACTH症候群の可能性が高くなる.また,異所性ACTH症候群から放出されるACTHには生物活性が低かったり,分子サイズが異なったACTHがみられることがある.異所性にACTHを産生する腫瘍は,小細胞肺癌,消化管や気管支のカルチノイドが代表的.CRHも同様の腫瘍で異所性に産生されるがACTHとCRHを同時に産生する腫瘍も多い.③結節性副腎過形成には大結節性と小結節性があるが,大結節性の一部でACTHが高値になることがある.CTなどの画像診断で結節性の両側副腎腫大を呈する.④神経性食欲不振症,うつ病,ストレスなどでは,反応性にACTHとコルチゾールの上昇がみられることが多いが,デキサメタゾン0.5mg負荷で抑制される.⑤原発性コルチゾール不応症はまれな疾患で,糖質コルチコイド受容体以降に障害があると考えられ,ACTHやコルチゾールの高値など下垂体-副腎皮質系の検査結果はCushing病とよく似ているが,Cushing病に特徴的な身体所見や糖質コルチコイド過剰による代謝異常を呈

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