Decision Level

●150ng/mL以上(高度増加)

[高頻度]腺腫様甲状腺腫，甲状腺癌(原発巣および転移性病変も含む)　[可能性]Basedow病，亜急性甲状腺炎，甲状腺良性腺腫，慢性甲状腺炎(橋本病)，甲状腺切除手術直後　[対策]さらにエコーおよび血中遊離T₄(FT₄)，甲状腺刺激ホルモン(TSH)，抗サイログロブリン抗体(TgAb)を測定して，診断を確定する

●30～150ng/mL(軽度～中等度増加)

[高頻度]甲状腺癌，甲状腺良性腺腫，Basedow病，無痛性甲状腺炎，慢性甲状腺炎　[可能性]腺腫様甲状腺腫，TSH産生下垂体腺腫，甲状腺ホルモン不応症，亜急性甲状腺炎　[対策]さらにエコーおよび血中FT₄とTSHを測定して診断を確定する

●5～30ng/mL(基準値)

[高頻度]慢性甲状腺炎に伴う甲状腺機能低下症，Basedow病寛解状態　[可能性]下垂体性(中枢性)甲状腺機能低下症，Basedow病に対する¹³¹I治療後　[対策]原疾患の診断と治療

●5ng/mL未満(減少)

[高頻度]甲状腺ホルモン製剤過剰内服による医原性甲状腺中毒症，甲状腺全摘出術後，Basedow病に対する¹³¹I治療後の晩発性甲状腺機能低下症　[可能性]先天性甲状腺形成不全症　[対策]原疾患の診断と治療

異常値のでるメカニズムと臨床的意義

　腫瘍マーカーとして重要である．腫瘍が甲状腺に存在する場合，ほぼ例外なく高値を示す．転移性病変を伴う甲状腺腫瘍では特に著しく増加する．ただし良性の腺腫様甲状腺腫でも著明高値となるため，良性・悪性の鑑別には有用でない．

　血中Tgが増加する機序には腫瘍以外にも2つの原因がある．1つは甲状腺自体の機能が亢進していることで